前回の記事で、私、三木雄信がソフトバンク時代、孫社長からのむちゃぶりを解決してできた7つのルールについて、概略をお伝えさせていただきました。またそれらを活用することでトライズをオープンさせることに成功したことについても触れさせていただきました。
今回はその7つのルールのうちの2つについて説明させていただきます。
ルール1:四半期ごとの「イシューリスト」を作る
そもそも「イシュー」と「タスク」の違いは?
イシューとは
「イシュー」とは、分かりやすく言えば「計画」と「タスク」をつなぎ合わせる接着剤のようなものです。
例えば、まずはじめに、皆さんが
「1年後までに英会話を駆使し、海外拠点に選出される人材になる」
という計画を持ったとします。
この場合、その計画を下支えさせるために、以下のようなクリアすべき事柄が出てきます。
- ビジネス英語に強くなる。
- ネイティブが言っていることが聞き取れて、意味が理解できるようになる。
- 相手が言っていることに対して、即座に反応して適切な返答が出せるようになる。
- 英語でロジカルな説明ができるようになる。
これらがつまり「イシュー」です。
タスクとは
こうなるとその「イシュー」を改善すべき「タスク」として挙げられるのは
- 教材となる映画について、シャドーイングを徹底的に行う。
- 即座に返答できるように、超高速英作文を何回も暗唱する。
- ビジネス経験のあるネイティブ講師の前で、覚えた英会話をアウトプットしまくる。
となります。
そしてこれらのタスクを具体的に数値化させ、週約20時間の英語学習のスケジュールに埋め込んでいく。あとは、手帳に書かいてスケジュールは、必ず実践させる。この方法を愚直に繰り返すことで、1年後には計画通りの結果を手にいれることができます。
イシューリストの活用例
これは、ビジネスの場においても当然活用できます。
例えば私、三木雄信がトライズで
「将来的な全国展開に向け、今年度は1年後までにセンターの数を◯箇所増やす。」
という計画を持ったとしましょう。
この場合の「イシュー」は
- トライズのセンター長として相応しい人材を探してくる。
- トライズの高いサービス品質を維持すべく、良質なコーチングが可能な、専属コンサルタントを探してくる。
- トライズのセンター候補地の情報を高い精度で集約する。
- テナント候補地の不動産情報を集めてくる。
- オープン当初から、地域の方から支持を得られるようにしておく。
他にも、多くのイシューが存在すると思いますが、それらを思いつく限り「あれもやった方がいいな」「これも考えなくては」と頭の中に引っかかっているものを全て書き出して言ってください。後で紙全体を眺めたとき、「それでは、これらをどうやってタスク化し、スケジュールに落としていこうか。」と考える時に役に立ちます。
ソフトバンク 孫社長も実践
孫社長はいつも移動中の車中において、A4タテの紙を持ち、イシューリストを作っていました。そして解決すべき問題を明らかにし、それをタスク化させ、確実に実践することに拘ったのです。
また孫社長はイシューの明確化とタスク出しを自分一人で考えるに留まらず、できるだけ早い段階で会議を開き、組織全体としてのイシューを明確化させタスクを明らかにしていました。権限と情報を持った者を会議に出席させることで、組織としての手戻りを極小化させていたのです。
なお「イシューリスト」と「スケジュール帳」は絶対に分けておくことをお勧めします。なぜなら「イシューリスト」はあくまで「未確定の課題」を明確化させるためのツールとして活用しますが、「スケジュール帳」は、書かれたものは「確定した課題」に確実に対処するためのツールとして活用します。
こうしたイシューリストを四半期ごとに分けることにより、1年後までの計画を実現させていく。これが今回ご紹介するルールの肝となります。
ルール2:作業時間の単位は「15分」
最小単位は15分がベスト
仕事のスケジュールは、「15分」を最小単位とする。これが時間を効率化させる秘訣です。
それではなぜ「15分」なのか。
その理由は、最初から1つのタスクを終わらせるために「30分」もしくは「1時間」という単位で予定を組むと、無駄な時間を含む可能性があるからです。
例えば、超高速英作文の勉強時間を1時間に設定したとします。そしてその日の目標が四半期ごとのイシューから逆算して「5ページやる」だったとします。仮にその日は調子が良く、5ページ済ませるのに、45分で達成できたとすると、残りの15分は机に座りつつもスマホをいじりながら、だらだらと勉強していると言った結果になりがちです。
こうした無駄な時間を生まないためには、自分の作業時間を知り、15分単位で作業時間を割り振り、よりシャープな計画を立てる必要があります。
自分の作業時間を知り、毎朝1日の計画を立て、タスクごとに割り振る
シャープな計画を立てるためには、もう一歩深掘りして、自分の平均作業時間と限界作業時間を知ることが必要となります。
平均作業時間とは、読んで字のごとく、「その作業をこなすのに、平均してどのくらいの時間がかかっているか」を表す数字です。また限界作業時間も同様に、「その作業を集中力を保った状態でどれだけ継続できるか」を表す数字です。
これらを把握した上で、毎朝1日の計画を立て、タスクごとの時間を割り振ります。この段階では、先ほど洗い出したイシューに対するタスクを細かく分け、毎日のスケジュールに割り振っていくことがポイントとなります。こうすることにより、その日全体の時間の使い方を構造化することができるからです。
困難なことほど分解せよ
特に、私、三木雄信の場合、「資料作成で1時間」という大枠だけでなく、「この資料は4項目で構成するから1項目につき15分でまとめる」というところまで細かく設定します。
「15分では考えがまとまらない場合は、どうするの?」
そう思われるかもしれません。しかし実際は、15分で終わらせるべき問題を1時間かけても2時間かけても、対して良い結果にはなりません。
内容がわからなくなり、作業に手が止まったら、隣の先輩や上司にアドバイスを求めるとか、インターネットで良い情報を仕入れるとかした方が、よっぽど早く終わらせることができます。
「困難は分解せよ。」
哲学者のデカルトも言うように、このことが仕事をスピーディーに終わらせるための重要なポイントとなります。
早く終わったらぼんやりしよう
小さなタスクに集中して一気にやり切る習慣がつくと、予定の時間より早く仕事が終わることがあります。そんな時は次のタスクが始まるまで、ぼんやりしてもいいと思います。
意外に思われるかもしれませんが、私、三木雄信も予定外の隙間時間ができたときは、会社の屋上に出て外の空気を吸ったり、近くのコンビニへおやつを買いに行ったりします。
重要なのは、仕事をした時間ではなく、アウトプットの量です。今日やると決めた仕事で成果を出せば、余った時間をどう使うかは個人の自由です。
まとめ
今回は、時間をうまく使うための7つのルールのうち2つをご紹介させていただきました。
自己啓発の本やセミナーなどでは「目標を紙に書いて貼りましょう。」「ビジョンボードを作りましょう。」などとよく言われていますが、それだけで成就させることは絶対にできません。今回の記事で、目標や計画があるなら、そのために解決すべき問題点(イシュー)を洗い出し、細かくタスク化させ、毎日の計画に落とし込むことが大事であることをご理解いただけたと思います。
私、三木雄信が運営しているコーチング英会話スクール「トライズ(TORAIZ)」では今回ご紹介した時間術を大いに活用してもらい、受講生皆様に1年間で1,000時間の英語学習時間を作っていただいております。その結果として英語が話せることはもちろんですが、自然と時間術に関するスキルも事前と身につくためビジネスマンとしてのスキルもアップします。興味がある方は一度トライズの公式サイトを御覧ください。
次回の記事では、それらの細かくタスク化されたものを、「週間単位」「24時間単位」に落とし込んでこなしていく方法について具体的にお話させていただきます。
どうぞお楽しみに!