【資料作成術】プロジェクト管理に役立つ資料作成のコツ

ビジネス術

「議事録を見返しても決議事項がわからない」 

「プロジェクト管理をスムーズに行うための資料を知りたい」 

そのような悩みを抱えたビジネスパーソンは少なくありません。私もかつては同じ壁に直面していました。 

私、三木雄信はソフトバンク社長室で孫正義社長の右腕として働く中で「どうすれば伝わる資料が作れるか」という疑問と向き合い、試行錯誤を重ねる中で、ソフトバンク流の資料作成術を身につけることができました。現在ではそのスキルを活用して、コーチング英会話トライズ(TORAIZ)の経営を軌道に乗せています。孫社長の元で学んだコツをまとめて、2015年に著書「世界のトップを10秒で納得させる資料の法則」として上梓しました。 

本記事ではその中から「プロジェクト管理に役立つ資料作成術」をご紹介します。

A4版1枚にひと目でわかる議事録を作るコツ 

会議が終了した後にまとめられ、社内で回覧される会議議事録。会議で決まったこと、決まっていないこと、これからやるべきことを記した貴重な資料であるはずなのに、なぜかろくに読まれないままスルーされることも少なくありません。 

本来は「読まれてなんぼ」の議事録が、なぜ読まれなくなってしまうのでしょうか。私の経験上、議事録の作り方に問題があり、読む価値を感じない議事録になっていることが多いからだということは間違いありません。 

議事録を作成する上で必須なのは、プロジェクトマネジメント的な考え方ですプロジェクトマネジメントとは、与えられた目標を達成するために、人材、コスト、設備、物資、日程を調整し、全体の進捗状況を管理すること。この視点を含んだ議事録であれば、業種業態を問わず、すべての企業におい要することができます。 

議事録を作るコツその1: A4サイズにフォーマット化する

。議事録作成者によってフォーマットが異なると項目の順序が違っていたり、ひどい場合には抜け漏れができたりします。誰が議事録作成係をやっても同じように情報を整理できるよう、テンプレートを作っておくのが良いでしょう。 

議事録を作るコツその2:階層化されている

良い議事録の例として図表4-1を見てみましょう。 

(本書より引用) 

左上から右下へ視線を向けるだけでコンテンツがよく理解できると思います。それを可能にしているのが階層化です。階層化といっても難しいことではありません。一番左の列には日時や場所といった事項名を書き、その右側以降に詳細を書いていきます。新サービスの販売手法の項目では、「事項」「責任者」「アウトプット」「納期」とより細かな項目に分かれており、それぞれの内容が整理されています。どこに何が書かれているかがすぐに把握できるので、自分の必要な情報に即座に到達できるという利点があります。 

議事録を作るコツその3:プロセスをダラダラ書かない

報告書であればプロセスも知りたいところですが、会議とは何かを決議する場合が多いため、議事録においては決議事項をはっきりさせることを優先します。決まったのか決まってないのかはっきりしない状況を無くしていくためにも報告なら報告決定なら決定未定なら未定ステータスを3つに分け、必ず議事録に含めるようにしましょう。図表4-1をみると、「新サービスの販売手法」の欄にはすべてステータスが明記されています。 

議事録を作るコツその4:責任者や納期、アウトプットを明確に決める

よく「会議が多すぎて仕事が進まない、朝から晩まで会議ばかりしているせいで仕事が捗らない」という愚痴を耳にしますが、本当の意味での”会議”が機能していればそんなことは起きるはずがありません。次のアクションを具体的に決めていれば、会議が終わった直後から着手でき、どんどん生産的になっていくはずです。先ほどの図表4-1のように、誰がいつまでに何をするのかが明記されていれば言い逃れはできず、責任者は必ず決議事項を実行するようになります。 

上記4点を守って議事録を作成することで、会議に参加していない方にも会議の大枠が伝わるようになります。必要に応じてプレゼン資料などを添付して共有することで、さらに深いところまでフォローすることができ、会議が目的化しない体制を構築できます。議事録の改変はすぐに着手できるポイントなので、ぜひあなたの仕事に取り入れてみてください。 

工程管理しやすいプロジェクトマネジメントシートを作るコツ 

建設作業のように分担の多いプロジェクトでは、工程管理にガントチャートがしばしば用いられます。ガントチャートとは作業計画を視覚的に表現するために、縦軸に工程名、横軸に期間を入れた次のような表です。 

(Wikipediaより引用)

ルーティーン業務に関してはスケジュール通りに進めることができる会社が、なぜかプロジェクトとなると予定通りに進められないことがあります。その原因の1つはガントチャートにあるとみています。ガントチャートそれ自体がいけないということではなく、使いこなせない現状に問題があるのです。 

ガントチャートを作成しても現場の動きはスケジュール通りに進まないことはよくあります。そうなると相互依存関係がわからなくなり、バラバラになった進行を整えるためにガントチャートを管理する人が必要になってしまいます。結局、ガントチャートは上層部に進行の目安を見せるためだけに存在し、現実はガントチャートをよそに進行するというのが良くある話です。 

私がオススメするプロジェクトマネジメントシートは図表5-1のようなシンプルな表形式のものです。 

(本書より引用) 

この形式を採用するメリットは、議事録と同様に納期とアウトプットの形式が明確な点です。担当者がそれぞれの役割を深く認識できるため、中途半端なアウトプットになって他の工程に迷惑をかけるというリスクが少なくなります。また、もし進行にズレが生じた場合にも、ガントチャートと比較して容易に修正ができるようになることも強みです。シートは常にバージョン管理し、それぞれのメンバーが最新版を確認するという習慣をつければ、変更に対して臨機応変に対応できるようになります。 

プロジェクトマネージャーの精神的な負担を軽減する上でも、表形式の管理シートは効果を発揮します。プロジェクトが成功したかどうかという責任がプロジェクトマネージャーに押し付けられがちなため、昨今ではあまり管理業務をやりたくないという人が増えています。しかし、シート管理ができることで、各工程の担当者の責任と切り分けることができ、仮に担当者が遅れたとしてもそこにリソースを分配することなどにより対処できます。つまり、各工程が自走しやすいような体制を作り、マネージャーは全体で最適化してあげるだけで円滑に進行するようになるのです。 

まとめ 

議事録とプロジェクトマネジメントシートはいずれも情報をよく整理し、いつまでに何をすべきかが分かる状態が理想的です。それを実現するために議事録では

  • 「A4版1枚に収める」
  • 「階層化する」
  • 「プロセスを書かない」
  • 「担当者、納期、アウトプットを決める」

ことを提案しました。プロジェクトマネジメントシートでは見栄え重視のガントチャートよりも、修正に柔軟にできる表形式のシートがオススメです。これらの仕事術を活用して、生産性を高めてみましょう。 

私はソフトバンク流の資料作成術を学んだことにより、コーチング英会話トライズ(TORAIZ)の経営を軌道に乗せることができました。より詳細な内容を著書「世界のトップを10秒で納得させる資料の法則」に記載しています。そちらも合わせてご覧ください。