多くのビジネスパーソンが仕事に時間がかかることに悩んでいます。その一方で、仕事をテキパキと終わらせ、いつも定時で帰るというビジネスパーソンもいます。両者の間に横たわる違いはなんでしょうか?
それはコミュニケーションの技術です。現代ではほぼ全ての仕事がコミュニケーションを基盤としており、効率的なコミュニケーションが生産性に直結します。
私、三木雄信もかつては同じ悩みを抱えていました。しかし、20代のころ、ソフトバンクの社長室で孫正義社長の秘書として働く中で、様々な幹部の働きを目にし、仕事が早い人がやっているいくつかのコツに気づきました。
私は実際にそれらを活用して、ソフトバンク内での事業成長に貢献するとともに、現在ではコーチング英会話「トライズ」などの自身の経営も行なっています。このスキルを多くの人に役立てていただくために、著書「頭がいい人の仕事が速くなる技術」を公開しました。
本記事ではその中から、コミュニケーションのスピードをあげる7つの習慣について解説します。
電話をうまく活用する
コミュニケーションの速度は、メールより電話が圧倒的に早いということに異論を唱える人はいないでしょう。すぐに返事が得られますし、細かな点まで確認することができます。そのため、私は緊急度や重要度の高い案件では、迷わず電話をかけるようにしています。クレーム対応やトラブル処理といった大きな問題で、当事者同士の意思疎通が遅れると、解決のタイミングを逃してしまい、事態を悪化させかねません。
その一方で、電話では相手の作業を中断させてしまい、かえって仕事に差し支えるという声もあります。それを解消してくれるのが、近年様々な職場で導入されている「チャット」です。リアルタイムで会話のようにコミュニケーションが取れることに加え、やりとりがテキストベースで残るので、後から見返すことであやふやな点を確認できます。
理想的には電話でのコミュニケーションができれば良いですが、状況や相手との親しさによって、チャットなども導入して円滑なコミュニケーションを図りましょう。
高速メール術
コミュニケーションを高速化するための前提として、「メールは見た瞬間に返す」ことにしています。一度開いたメールをそのまま置いておくと、返すタイミングでまた読み返さなくてはなりません。それでは二度手間になり、余計に時間がかかってしまいます。ですので、メールを開いたら10秒以内にどう対応するのか判断し、すぐ返せるものは返し、確認が必要なものは次のアクションをスケジュールに加えます。
また、メールを書くときの心がけの2つ目として、「3分以内に本文を完成させる」ことを徹底しています。それ以上の時間がかかりそうであれば電話に切り替えるか、ミーディングの時間を設定しましょう。メールを書くのに3分以上かかる内容であれば、それだけ複雑な事項ということですし、メールでのコミュニケーションに向かないケースである可能性が高いです。
さらに、「5行以内でシンプルに書く」ことも意識しています。「お疲れ様です」や「お元気ですか」などの形式的な挨拶を省き、できる限り内容を端的に表すメールが仕事を高速化してくれます。
週一のミーティングの活用
チームを活性化し、意思疎通を効率化するために、週に1回固定のミーティングを入れておくのも非常に効果的でした。
全員が同じ場に揃えば、「今週はこれを達成しなくてはいけない」という短期的なゴールを共有できます。すると各自で逆算して、「だったら水曜までに売上の数字をまとめて報告しなくてはいけない」「金曜までにレポートを作らなくてはいけない」といった締め切りと優先順位を明確にできます。
最近ではリモート勤務を導入する企業も増えたので、オンラインでのミーティングにすることで、より集まる手間を削減できるとされています。
定例化することでスケジュール調整の手間がなくなるのもメリットです。全員が参加できるように説明をし、毎週その時間を空けておくようにお願いするだけでいいので、「予定が合わずに今週はスキップ」ということも無くなります。
議論を数字で行う
数字のない議論ほど、時間を無駄にするものはありません。
「新しいシステムを導入したい」と提案するとき、「セキュリティが向上するからです」というだけでは話が進まないのはお分かりかと思います。なぜならば、費用対効果がハッキリせず、それが本当にやるべきことなのか判断できないからです。この場合は、「当社のセキュリティ対策に関する予算は1億円です。このシステムの導入にはそのうち3000万円を使うことになりますが、自社が持つ10万件の顧客情報が暗号化され、万が一ハッキングされても流出を300件以内に止めることができます」と、数字を示すことで、ようやく議論がスタートします。
どんな課題も数字で表す努力をすることが、仕事のできるビジネスパーソンになるための第一歩です。数字がない議論では、「誰が何を信じるか」という、好き嫌いの話になってしまいます。人間の価値観はバラバラですから、いくら話し合っても一つにまとまることはなく、合理的な判断を下すことはできません。
例えば「自社の信頼度を高めたい」という抽象的な目標であっても、「ユーザーにアンケート調査をして、自社の好感度をパーセンテージで表す」「キャンペーンを実施して、通常の来店客数との違いを計測する」などの施策により、信頼度を間接的な数値で表現することが可能になります。
もちろん、間接的な指標ですから、正確ではない場合もあるし、誤差もあるでしょう。しかし、少なくとも数字があれば比較ができ、それを変えるためのアクションの評価ができます。このように、ボヤッとした問題についても定量化し、改善するための努力を行うことで、仕事の良し悪しを測れるようになります。
アウトプットは体言止め
会議で決まったことを議事録に書くとき、こんな表現を使っていないでしょうか?
「来週の会議までに、Aさんがユーザー調査をする」
そう記録して、参加者全員に議事録を配布したにも関わらず、次の会議でもAさんから報告は上がりません。本人に確認すると「はい、調査しました。でもまだ結果はまとめていません」と言います。「この会議までにやれといっただろう!」と怒りたくなる気持ちはわかりますが、ここに先ほどの表現の問題点があります。
しかし、先ほどの書き方では、相手が「期限内にユーザー調査さえすればいい」と解釈することができます。それを避けるには動詞形を使わず、「体言止め」で記録することをオススメします。「納期」「担当者」「アウトプット」の欄を作り、すべて名詞形で記入するのです。具体的なフォーマットなどについても過去の記事で解説しているので、合わせて参考にしてください。
コーチング英会話トライズの会議でも、議事録を作成する際には体言止めで作成していることで、解釈の違いが生じることなくスムーズに業務が進むようにしております。
10秒でOKが出る報告の技術
報連相の時間を短くするための鉄則は「結論から話すこと」です。先に結論を述べることで、その話がどこへ向かっているのかが分かりますし、内容をよく知った人であれば詳細な理由を聞かずとも、それらを推測できるので、無駄な報告の時間を省くことにつながります。
ところが、報告の際に、そもそも結論を用意していない人が少なくありません。事実を読み上げることが報告だと思っている人も多いのですが、そこから何が言えるか、次にどうすべきかが上司の知りたいことなのです。
説明するときは理由を3つ考える
結論を述べた後、仕事が早い人は根拠を「3つ」にまとめます。孫社長は理由を3つ用意するよう求めましたし、プレゼンの達人と言われたスティーブ・ジョブズも「理由は3つあります」というフレーズを頻繁に使っていました。1つでは理由として弱いですし、4つでは多すぎで印象が薄れてしまうので、3つがベストと言われています。
3つの理由はできる限り異なる方面からのアプローチである方が説得力が増します。
例えば、M&Aのメリットであれば「事業間のシナジーが生み出せる」「親会社のブランド価値を提供できる」「金融機関からの信用が増す」のよう視点を変えた理由を打ち出すことが重要です。
まとめ
仕事が早い人はコミュニケーションを円滑にする術を身につけています。本記事では、電話の活用、無駄のないメール、定例会議、数字を組み込んだ議論、アウトプットの決め方、結論と理由の構成などについて明日から使えるスキルをご紹介しました。
私はこれらの方法を活用し、コーチング英会話トライズをはじめとしたいくつもの事業を軌道に乗せることができました。特にトライズでは、多くの部署と連携する機会などが多いため、今回ご紹介したコミュニケーション方法をフル活用し、最速で業務を進められるようにしております。その結果として今まで4500名以上の受講生様がトライズに通い、英語を話せるようになっております。興味がある方はぜひトライズの無料カウンセリングにお越しください。
業務効率化のためのノウハウは著書「頭がいい人の仕事が速くなる技術」で紹介していますので、そちらも合わせてご覧ください。