【失敗から学ぶ】絶対に避けたい、間違った7つの数値化

英会話 トライズ 三木雄信 ビジネス術

ビジネスシーンにおいて、普段から数値化を心がけている人たちでも、 

「なぜか上手く結果に繋がらない」 

「数値化しても役に立っていない」 

という状況が起こりがちなようです。 

では、なぜ数値化が問題解決に繋がらないのでしょうか?これまで様々なビジネスパーソンの相談を受けた中で、その原因がいくつかのパターンに分けられることを発見しました。 

私、三木雄信はソフトバンク社長室で、孫社長の右腕として活躍したのち、コーチング英会話トライズの経営者として、多数の校舎の経営改善に成功してきました。そこでは「適切な数値化」を徹底しており、再現性の高い方法で結果を出しています。孫社長から学んだ数値化の技術をぎゅっと1冊にまとめ、著書【孫社長にたたきこまれた すごい「数値化」仕事術】として2017年に上梓しました。 

その中から本記事では、「間違った数値化」に焦点を当て、失敗例を知ることでみなさんのビジネスの参考にしていただきます。 

数値の単位、定義、解釈が曖昧 

孫社長は曖昧な数字を絶対に見逃しません。数字の単位や定義など、少しでも漠然とした箇所があると即座に鋭いツッコミが入ります。特に怒られるのが「分母と分子がはっきりしないパーセンテージ」です。 

例えば携帯の解約率を報告した場合に、分母を「ある月の加入者数」、分子を「同じ月の解約者数」としたのか、分母を「累計の加入者数」としたのかでは全く意味合いが変わります。この例では分母の数字がかけ離れているのでやや極端ですが、似たような数字で複数の解釈ができる場合には注意が必要です。 

言葉の定義や解釈などについても同様に、前提条件の共有を徹底しましょう。人によって意味合いが異なったまま進めてしまうと、後で大きなトラブルになることが考えられます。 

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分け方が甘い、あるいは不適切 

一見変化のないような数値でも、より細かく分けることで示唆が得られる場合が多々あります。例えば次の表の例では、企業の売上を年間の単位で表しています。 

(本書より引用)

売上だけをみた場合には経営が安定しているように見えますが、「一時的な売上」「継続的な売上」に分けてみると、継続的な売上が激減しており、その場しのぎの受注で成り立っていることが分かります。この例のように、分析では「どの切り口でみるか」によって得られるインサイトが変わることを覚えておくことが重要です。 

継続的な売上の話に関連して、ソニーの業績回復についても触れたいと思います。一時は業績悪化に苦しんだ同社ですが、2018年3月期には過去最高収益を達成しました。この復活を支えたのが「リカーリング型事業」です。リカーリングとは「循環する」といった意味で、まさに「継続して稼ぐ事業」のことです。ゲーム機のPS4のソフトを月額制で販売することや、米国の音楽出版社を子会社化して著作権管理事業にも乗り出しました。

 

計測している数字がゴールに結びついていない 

数値化しても業務改善の手がかりが見えてこない場合には、計測している指標が意味をなしていないことも考えられます。たくさんのデータを収集したり、膨大な数字を眺めたりしていると、なんとなく“仕事をした気”になってしまいますが、目標達成に役立たない数字は、無用の長物でしかありません。 

具体的には重回帰分析をした時に、説明変数になる指標を見つける必要があります。重回帰分析については過去の記事で解説していますので、合わせてご参照ください。(【トライズでも実践中】数値化仕事術を活用するための7つのポイント

数字の「マンネリ化」が起きている 

大企業や歴史ある企業で陥りがちなのが、数字のマンネリ化です。言い換えれば、使い古された慣例やフォーマットが現場の実情にあっていないことを意味します。 

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例えば、問題解決のためには「商品ごとの数字」を見なくてはいけないのに、「毎月の営業会議では、店舗ごとの数字を報告する」というのが慣例になっているために、誰も商品ごとの数字を取りに行こうとしない。そんなことが起こりがちです。 

数値のマンネリ化に関連して、もう一つ気をつけたいことがあります。それは「他社のベンチマークをなんとなく流用してしまうこと」です。多くの場合、製品ごとに計測する指標や、目指すべき数値が異なるにも関わらず、「ライバルが成功しているから」という理由で安易に流用することがしばしばあります。ケースバイケースでよく数字を分析することで、その製品における最適解を見つけるようにしましょう。 

数字の「内向き化」が起きている 

数字の「内向き化」とは、外部環境の変化を考慮せず、目標とする数値だけを追ってしまうことを指します。私が顧問やアドバイザーを務める会社では、「KPIだけをみて安心するな。外の数字をどんどん取りに行け」と伝えています。なぜならば、現代は情報通信技術の発達により、ユーザーの体験が刻一刻と変わっているからです。 

新聞社を例にとると、「新聞の購読者数」でシェアを計測していれば良かった状態から、ネットで記事を読む時代に変わりました。そのため、新たに「電子媒体を利用するユーザーの数」を計測しなければ実情が捉えられなくなっています。 

分析ばかりで実行していない 

どれほど緻密な計画を立てても、はっきり言えば未来のことなんて「やってみなけりゃわからない」のです。数字の分け方や取り方も、「何が正解なのか」と机の上で頭を悩ませたところで答えは分かりません。まずは実行して、確かな実測値を手に入れ、それを元に軌道修正しながら、正確にたどり着くしかないのです。 

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ソフトバンクがシェアを拡大する背景にも、まずは実行して数値化の制度を高めることが役立っています。100万台のモデムを用意し、日本全国で販促キャンペーンを展開したことは、同じ業界の人から見れば無謀な挑戦であると考えられていました。しかし、販売の記録を綿密に分析したことでチャネルを最適化でき、より現実的な計画へと仕上げることができました。 

相反する2つの数字を同時に達成しようとしている 

ビジネスには両立させるのが難しい数字が存在します。「売上」と「信用度」はその一例です。売上を伸ばすためには販促を行い、製品の魅力をできる限り訴求する必要があります。しかし、行き過ぎるとしつこいと感じられ、信用度の損失へ繋がります。逆もまた然りで、小さな利益で商売を行えば信用度は得られますが、会社の拡大は緩やかになってしまいます。 

孫社長は「今はどの数字を優先すべきか」を読み取るバランス感覚が天才的に優れていました。モデムの無料配布をして信頼を勝ち得える一方で、規模拡大後にオプション販売により顧客単価を違和感なく高めるなど、ビジネスのフェーズごとに優先度を切り替えていく戦略をとったのです。相反する二つの数字に悩んだら、タイミングをずらしながら優先順位を入れ替えていくのが、最も現実的な問題解決方法です。 

まとめ 

この記事では「数値化しているつもりでも効果が出ない人」に共通する誤りを7つご紹介しました。まとめると、いずれも盲目的に数値を集めているだけでは陥ってしまう可能性のある内容でした。数値化をし、分析をする目的は「結果を改善するため」ということを忘れてはいけません。慣例や目先の数値に惑わされることなく、常に考えながらデータと向き合うことが大切です。 

より詳細な内容は著書【孫社長にたたきこまれた すごい「数値化」仕事術】にまとめてあります。実際に私も、この方法を活用することでコーチング英会話トライズを短期間で軌道に乗せることに成功しました。ぜひ皆さんも数値化のスキルをビジネスに役立ててください。