「10月12日にナスダックジャパンの設立総会をやるぞ!ベンチャー企業家を2000人集めてテレビカメラを入れて大々的に報道させるんだ!」
もしあなたが、突然上司からこんな指示を受けたらどうしますか?しかも相手はあのソフトバンクグループの孫正義社長だったとしたらどうでしょうか?
私の場合これは、もしもの話ではありませんでした。孫社長が指定する期日はいつも最短最速でした。しかもプロジェクト・マネージャーの役割を拝命したとしても私にオフィシャルな権限はありません。そんなわけでプロジェクトマネジメントを始めた頃は当然ながら不安やストレスで眠れない夜が続いたこともあります。この経験を通して身につけた最短最速でゴールに達成するためのプロジェクトマネジメント術、略して「プロマネ」仕事術をご紹介させていただきます 。
目次
「プロマネ」仕事術は全ビジネスパーソンの必須スキル
「プロジェクトマネージャーを任せられるのは一部の優秀なビジネスパーソンだけさ。」
そのようにお考えの方も少なくないかと思われますが、これからの時代はすべてのビジネスパーソンにとって「プロマネ」のスキルは必須のスキルであると、私、三木雄信はあえて断言します。
ここで、プロジェクト的な仕事の、言葉の定義を明確にさせていただくと、プロジェクト的な仕事とは
- 期限があり
- 複数の部門が関与し
- 独自のプロダクト・サービスを創造するもの
となります。
期限がなく、単一部門だけで完結し、過去に作られたものの再生産と言った、いわゆる定型的な業務は、今後AIにとって替わられるため「プロジェクト的な仕事」こそが「AI時代の仕事」であると言えるのです。
では、そんな時代を生き抜くために必要なプロマネのスキルを身につけるためにはどうすれば良いのか。残念ながら現在の日本の多くの企業では「プロマネの仕事をどうやればいいか」という方法論は誰も教えてくれません。また、経営側が難しいことや面倒なことは現場に丸投げし、できなかったら責任者に責任を押し付けると言ったパターンが横行しています。このため、誰もプロマネの仕事を受けようとせず、日本の企業から発展性が削がれていると言っても過言ではないでしょう。
こうした問題を解決するための方法を次の通り解説していきたいと思います。
チーム仕事のスピードは「立ち上げ」段階で9割決まる
ここで改めて通常業務とプロジェクトの違いを整理しておきましょう。
プロジェクト
- 独自のプロダクトやサービスを創造する
- 有機性
- 複数の部門が関与する
通常業務
- 同じプロダクトやサービスの再生産
- 継続性
- 担当部門で完結する
つまりプロジェクトとは、今までのやったことがない独自性の高い仕事であり明確な締め切りによって期限が設定されていて他部門や外部の人と関わりながら進めるのがプロジェクトの特徴です。
またプロジェクトは三つの要素のバランスをとりながら行います。それが「品質」「納期」「コスト」です。
またプロジェクト開始から終了までの四つの段階は次のようになっています
1.立ち上げ
プロジェクトに関する重要事項の整理・明確化、プロジェクトの依頼者であり最終責任者であるオーナーとのすり合わせなど
2.プランニング
タスク出し、スケジューリング、定例会の設定など
3.実行
定例会、進捗管理、様々な見直しなど
4.終了
評価、振り返りなど
各段階の具体的な流れについては今後の記事で明らかにしていきます。
ゴールへの最短最速ルートを「プランニング」する
プランニングで一番大事なことはできるだけ早い段階で全てのタスクをもれなく出してしまうことです。
タスク出しはプロジェクトマネージャーが一人で行うのではなく、関係者を含めたメンバー全員で一緒にタスク出しを行うのがベストです。
ゴールまでにやらなければならないタスクがすべて出されたら今度はフィッシュボーン(魚の骨)チャート的に整理をしていきましょう。やるべきタスクをすべて漏れなく書き出し一覧できる形にまとめることができればその時点でプロジェクトの7〜8割は成功したと言っても過言ではありません。
なお、タスク出しは会議と言う話し合いの形式で行うのではなく、紙や付箋に書き出し、全員で処理する方法を考えた方が良いといえます。
また、それぞれのタスクには個人名で責任者を明確にさせておくことがポイントです。メンバーが無理なく仕事を回せるよう、それぞれのスキルや経験のサイズに応じてタスクを小分けするといった配慮も時には必要となってきます。
こう「実行」すれば納期を余裕で守れる
プロジェクトが開始したら、毎月1回、関係者全員が集った「定例会」を行ないます。定例会では、各メンバーのタスクの進捗確認、各部門の計画と実績の差のフィードバック、遅れが発生している場合の是正措置、翌週のタスクの確認などを話し合います。
ここで即行動につながる会議のポイントを以下の通りご案内させていただきます。
- 物事を決めるのに必要な権限と情報を持った参加者を揃える
- 会議の議題を明確にし事前に参加者と共有しておく
- 出てきた話について「報告」「決定」「未決」を分ける
- 「何を」「誰が」「いつまでに」やるかを明確にする
- 会議の最後に、全員で議事録を共有する
また、こうした定例会をさらに効率良く実施するためには、「Zoom」「Teams」「チャットワーク」などの活用も不可欠です。初期投資があまりかからないものばかりですので、是非活用して下さい。
こうしたプロセスを経て最後に行なうべきことは「オーナーへの引き渡し」と「プロジェクトの評価」です。このプロジェクトで得た学びや経験をフォーマット化し、次のプロジェクトに活用していきましょう。
「想定外&トラブル」を切り抜けるリアル・ノウハウ
プロジェクトを進めることにおいて想定外のことやトラブルなどは日常茶飯時です。こうしたトラブルを解決するためのリアルノウハウを次の通りご紹介させていただきます。
Q1.どんなに注意していても「鶴の一声」が濡れてしまうことはある。 その時はどう対処したらいい?
A. 時にはオーナーと戦うことも必要。
鶴の一声があったからといって、 プロマネが「はい、わかりました!」と何でも受け入れていたら、現場は大混乱になってしまいます。 「推進する人」だけでなく「止める人」も必要です。止める役割ができないプロマネはメンバーからの信頼も失います。
Q2.通常業務を抱えているメンバーに仕事を割り振るのは気が引ける。少しでも気持ちよく引き受けてもらうにはどうすればいい?
A.「日頃から貸しを作っておく」「勝馬の評判を作る」「手戻りしないと認識させる」「会社にとっての意義を説明する」の4点を心がけましょう。
その他のプロジェクト推進の場における現場あるあるについては、今後の記事で明らかにして参ります。
まとめ
いかがだったでしょうか。皆さんの仕事の中でも、「新規事業」とまでは言わないまでも、ちょっとした懇親会の企画や、社内啓蒙活動などでもご活用いただけるものがあれば、私、三木雄信にとって大変喜ばしいことです。詳細については「孫社長の締め切りをすべて守った 最速! 『プロマネ』仕事術究極のプロマネ仕事術」で解説していますので、そちらの方も併せて参照いただけたら幸いです。
私、三木雄信は、これらのノウハウを活用しコーチング英会話トライズを立ち上げ、受講生4,500人以上という規模まで成長させることに成功しました。皆さんも是非、プロマネの力を身につけ、ご自分のビジネスを飛躍させてください。
次回からの記事では、これらの内容についてより具体的に解説して参りたいと思います。
どうぞお楽しみに!