グローバル化が進む時代では、仕事においてもプライベートにおいても英語を使う機会が増えています。大企業での英語公用化導入やTOEICのスコア取得が義務付けられる事例もあり、英語をもう一度学び直したいという声をよく耳にします。
そこで、ビジネスパーソンが英語学習を効率よく進めるための方法として、「PDCAサイクルを意識する」ことをテーマにした書籍をご紹介します。そのタイトルは「超高速PDCA英語術」。
著者でもある私、三木雄信は20代の時にソフトバンクの孫正義社長の秘書を務めました。その時に海外のクライアントとの折衝のために英語を一から学び直し、1年間で交渉に負けない英語力を身につけた経験を元に書かれています。
「仕事も忙しいのに一年で英語をマスターできるなんて信じられない」
そう思うのも無理はありません。しかし、私も同じような状況でもいくつかのコツを習得することで学習を習慣化させ、英語に向き合うことができました。
本書で紹介するのは特別な勉強法ではなく、どのような考え方をもって学習を進められると、効率よく身につけられるかという内容になります。
私は現在では、コーチング英会話トライズを経営し、これらのメソッドを受講生の方々に体系的に伝えることができているため、きっとあなたの役に立てる部分もあるでしょう。
本記事では、書籍の内容を要約し、PDCAサイクルを生かした学習法とはどういうものかをお伝えします。
9割の人が行なっている間違った英語学習法
英語を学び直そうという志は素晴らしいのですが、多くの人は効果の出ない時間の使い方をしてしまいます。具体的には次のような行動からスタートするのは間違いです。
- もう一度英単語を覚える
- 受験参考書を引っ張り出して復習する
- いつでも行ける英会話教室に通う
- 英語音声教材をひたすら聞き続ける
どれも一見真っ当な勉強法に見えるため、「うわ、それやっちゃっていた…」と冷や汗を流した人も少なくないはずです。
これらの勉強から始めてしまう人の多くは、正確な目標設定ができていません。ビジネスパーソンの多くは「仕事で使える英語力を身につけたい」と思っていることでしょう。それならば「英語運用力を高めるトレーニング」に専念すべきです。
英語運用力とは、従来のように単語や文法の正しい使い方を知っていることではなく、即座に使いこなすスキルを指します。リーディング、リスニング、 スピーキング、ライティングという英語の4技能で言えば、口頭でのコミュニケーションと密接な関わりをもつリスニング, スピーキング力が英語運用力の基盤になっています。
したがって、先ほどの「間違った勉強法」にあるような4技能を平均的に伸ばす勉強ではなく、リスニング、スピーキング重視の学習法を採用すべきです。
「とはいっても、英語を話すためには基礎の単語とかを知らないとどうしようもないのでは?」
という指摘もあるでしょう。その通りなのですが、ほとんどの日本人にとって単語や文法の知識は高校・大学の過程で学ぶ中で身についています。裏を返せば、それだけの知識でも、運用力を高めれば英語は話せるようになるのです。
英語学習におけるPDCA
コーチング英会話トライズで推奨しているPDCAは、次の内容になります。
- P:ゴールを明確にし、ロードマップを描く
- D:シャドーイングと超高速英作文を徹底的にやる
- C:VERSANTで進捗度合いを確認
- A:学習のカベを乗り越える改善策をとる
次に各項目の概要を説明します。
Plan
Planでは1年後に目指す状態を定義し、そこに到達するまでのステップを明確にしましょう。それによって使用する教材やペース配分が決まります。
ふわっとしたゴールなら挫折してしまいますが、あなたのキャリアパスに紐づいた目標設定を行えば「英語を学ぶことで人生にも役立つ」と感じることができ、心からのモチベーションが湧いてくることでしょう。
Do
Doではシャドーイングと英作文の2つを学習の中心に据えると良いでしょう。シャドーイングを習慣づけることで聞き取り能力が上がることに加え、実際に発音することで英語らしいリズムを身につけることができます。
英作文では例文を覚えて、実際に使ってみることで、様々なシチュエーションにふさわしい表現を習得できるでしょう。ネイティブの会話を書き出してみると分かるのですが、意外にもシンプルな文ばかりで、私たちが大学受験の英作文で書いたような入り組んだ文章はほとんどありません。英作文と気負わず、出来るだけ平易かつ丁寧な例文が即座に出るようにしましょう。
Check
Checkでは運用能力の伸びを評価しましょう。そのためのツールがVERSANTです。このテストは高度な自動音声認識システムを利用していて、パソコンやスマートフォンがあればいつでもどこでも受験できます。テストはネイティブが話す自然なスピードの質問を聞いて、口頭で回答する形式で行われます。出題数は63問、試験は約20分であるため、毎月受験しても負担になりません。このツールを使って英語運用力を定量的に評価することで、その月の学習がどれほど効果的であったのかを振り返ることができます。
Action
Actionでは振り返りをした中で、足りていなかったポイントを補うための施策を行います。例えば「計画通りに進められたが、スピーキングで使える表現がまだ乏しい」という場合には、使えるようになりたい表現をインプットする日を設けて、バリエーションを増やすなんてことも効果的です。
また、長期間モチベーションを維持することも容易ではないので、Actionのステップで目標を再確認したり、一緒に頑張る仲間と過ごして刺激をもらうのも良いでしょう。
運用力をつける上で通過する4つの段階
コーチング英会話トライズでは1年間で1000時間の勉強を推奨しています。これまで多数の生徒さんを見た経験から、大きく分けると1年間で4つの段階を経ることに気づきました。
音声知覚期
音声知覚期はシャドーイングの際に、発音されている内容をテキストに照らしながら追える段階を指します。これは勉強を開始して3ヶ月目までに見られることが多い期間です。
最初は文字を全部発音しようとしたり、カタカナ英語になってしまうこともありますが、徐々に聞いたまま発音できるようになるので心配は要りません。
「フレーズをすぐに忘れてしまう」と感じるのもこの時期の特徴です。覚えたことが長期記憶に移行していないので、繰り返し覚えることで少しずつ思い出せるようになっていきます。
意味理解期
意味理解期は耳にした音声の意味がつかめる段階を指します。これは4~6ヶ月目に見られることが多いです。
この時期に共通の悩みとしては、英語教材のスタンダードな英語なら無理なく聞き取れるが、会話などの実用的な場面での英語は意味を完全に理解できないことが挙げられます。この悩みを打破するためには映画やTEDなどのような実用英語を題材にシャドーイングし、経験を積むことが効果的です。
自動化準備期
自動化準備期ではほとんど意識することなく相手の言っていることを理解できるが、長い文章などでは一部不明瞭な点がある段階を指します。7~9ヶ月目までの学習者がこの段階を経験することが多いです。
この時期では「理解した内容に返事をする」という練習がメインになります。思うことがあっても限られた表現でしか返事ができないことにもどかしさを感じることもありますが、まずは内容を理解できていることに自信を持ちましょう。その上で、様々な相手との会話を経て、表現力を磨いていきましょう。
完成期
完成期では誤解を生まないレベルの受け答えがスムーズにできている状態を指します。ネイティブに比べれば自由度は随分乏しいと感じてしまうかもしれませんが、ビジネスで通用する英語力としては十分です。さらに経験を重ねて、より自然な表現を使える頻度を高めましょう。
まとめ
多くの英語学習者が挫折してしまう原因は「曖昧な目標設定」や、「実力を定量的に測っていないこと」に原因があります。
その点を補強するために、コーチング英会話トライズではPDCAサイクルを徹底し、Plan, Checkの段階で工夫をこらしています。目標設定では5W1Hを含んだ形で1年後の姿を具体的にイメージし、そこへ到達するためのステップを日々の勉強に落とし込みます。
日々の学習でモチベーションが下がった時には専属のコンサルタントが、サポートします。モチベーションが下がっている原因は、今の英語教材ではレベルが高すぎるのか、それとも、仕事が繁忙期に入り学習時間が確保できないため英語力が定着しないのかなど検討し、その都度学習計画や学習方法を見直し、受講生様には設定した目標に向けて集中して英語学習できるようコンサルタントが伴走します。
実力評価ではVERSANTを活用し、英語運用能力を数値で捉えるようにします。英語力の伸びを数値で確認することができます。
今回紹介したコツは独学で英語を学習する方々にも活用していただくことができるので、ぜひ活用してみてください。
より詳細な方法は、著書「超高速PDCA英語術」に掲載されていますので、合わせて参考にしてください。
また、コーチング英会話トライズを気になった方は、トライズの公式サイトから予約ができる無料のカウンセリングを行っているので、ぜひお越しください。